火山めぐりヨットレースのルル ('03.07.18) BBS TOP
 7月18日から数日間にわたって催された鹿児島カップ・火山めぐりレースには、30艇以上のヨットが参加。
 例年より梅雨明けが遅れたせいで前線が九州の近くに停滞したが、錦江湾には絶好の風をもたらした。

 メルボルン・大阪レースに日本から参加した3艇のうちの1艇、ルルも大阪から駆けつけた。オーナーのスキッパーの鈴木隆三さんは病をおしてレースに参加しレーサークラスBで優勝。しかし残念なことにその病のため、6月2日ついに帰らぬ人となった。

 ルルは鈴木さんがメル阪レース参加のため、デンマークのXヨットで建造させたIMX45だ。鈴木さんが渾身の力をこめて造らせただけあってキールからマストトップまですばらしい出来栄えのヨットである。

 スタート間際になってメルボルンに到着した自分には鈴木さんとゆっくり話す時間もなかった。しかし参加者に受講が義務付けられていたライフラフト講習を受けた時にはご一緒した。鈴木さんは体調が万全ではなかったようだが、私たちとともにプールで泳いだり潜ったりのハードな訓練を受けた。レーススタート後は体調のこともあり、オーストラリア東海岸沿いのコースをひた走り、北半球にはいってからも抜群の走りで好成績をおさめられた。その鈴木さんがメル阪レースのあと参加しようと計画していたのが火山めぐりレースだった。

 オーナーは亡くなってしまったが、その遺志を継ごうという奥様の裕子さんやクルーの人たちによってルルの火山めぐりレースが実現した。私も無理を言って第一レースに乗せていただくことができた。レース主催者の暖かい配慮で鈴木さんの死を悼みスタート前に参加者が花を海に投げ入れるセレモニーが行われた。

 レーサークラスCで優勝したジョン・セイヤーに「私もこんなヨットでレースに出たい」と言わしめただけあって、このIMX45は帆走性能とともに居住性も抜群だ。しかも儀装品は最高のものを使っている。第一レースでは69フィートの「夢ひょうたん」がダントツのファーストフィニッシュ、ルルはセカンドフィニッシュだった。時折吹いてくるブローでスピンを破られた艇もありスリリングなショートレースであった。

鈴木さんは口数の少ない人という印象が私にはあるが、一ヵ月以上にもわたる外洋レースに病をおして参加するという強い意志を内に秘められていた。同じレースに出た者として、もっとゆっくり話をする時間があったら、と今になって思う。鈴木さんの魂は、あの茫洋とした広大な海の上を今も翔け続けているに違いない