ライフラフト トレーニング

海上で実際にラフトを開く訓練のようすを紹介します。 20100213-KICX1930s.jpg  

去年12月、長崎県五島市(旧福江市が周辺の町と合併)で、漁協主催のライフラフト訓練と講習がおこなわれました。五島灘ヨットクラブのメンバーがその様子を撮影し、12月のクラブ会報に掲載しましたが、ここでも紹介することにします。

 

樫の浦漁港の岸壁に20人乗りのラフトが用意されました。こうした訓練は、ラフトの整備点検をする会社が主催者から依頼されておこないますが、廃棄処分にする古いラフトを使っても十数万円以上の費用がかかります。漁船でもラフトを搭載するのはまき網や以西底引きなど大型漁船だけで、今回はまき網船団が入っている団体が主催しました。訓練の前に、海保職員による安全講習会も屋内で開かれました。漁協や本船関係の団体は船員災害防災協会に加盟していて、こうした訓練と講習にかかる費用は、どれくらいの割合かは知りませんがその協会から得られる仕組みになっているようです。


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ラフトの入ったコンテナを海へ投下、いよいよ訓練が始まります。港内にヨットのマストがたくさん見えるじゃないかと思う人がいるかもしれませんが、全部漁船の釣竿です。ヨコワ(マグロの子供)を釣る時などに、この釣竿を横へ倒してルアーを流します。

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ラフトからは舫い綱と、膨張装置を作動させる自動索と呼ばれるロープが出ています。船上から投下する前には、舫い綱をクリートなどしっかりした所に結び付けて起きます。自動索を引くと、ボンベ内のCO2が急速に気室に入り始め、ラフトがふくらんでいきます。

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20人乗りの大きなラフトですが、1分くらいで開き終わったそうです。中型以上のラフトは屋根も自動的に立ち上がりますが、5人乗りくらいの小型のものだと乗り込んでからアルミ製の柱を取り出し、人の手で立ち上げてやらなくてはなりません。出入り口は両側にあります。

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別な角度から見たラフトです。かなり大きく見えますが、定員の20人が乗ったら、かなりキツイと思います。

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訓練のため、ウェットスーツを着た人が岸壁から屋根に飛び降りました。訓練の講師が、屋根に直接飛び降りるよう指導していたそうです。ラフトのマニュアルには、半分くらい開いたら乗り込んでもよいと書かれています。屋根を支えるフレームにはCO2が充填されるので、つぶれないようにできています。

しかし、去年10月の八丈島沖の漁船・第一幸福丸の遭難では、ラフトが発見された時に屋根がズタズタになっていたわけで、いったいどうしてあんなふうになってしまったのでしょうか。

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訓練のため、わざとラフトを引っくり返したところです。ところが、岸壁上からロープをラフトにかけて引っ張ったので、ラフトの側面が岸壁に付いた貝にあたって、気室に穴が開いてしまいました。引き潮の時にしたせいでしょうね。

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訓練を受けた人たちが力をあわせてラフトを復元させましたが、屋根がペシャンとなってしまいました。これは、気室に開いた穴からCO2が抜けてしまったせいです。屋根を支えるフレームの一つが気室とつながっているのでしょう。ラフトの気室はいくつかに別れていて、一箇所に穴が開いても沈まないように作られています。また、備品バッグ(艤装品袋)の中にはパンク修理道具のようなものや「ふいご」も入っています。

 

こう見てくると、第一幸福丸のラフトは気室に穴が開いていたように推測されます。転覆した船から自動離脱して膨張した時に船体のどこかに当たって穴が開いたか、それとも漂流中に開いたのか。

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信号紅炎の点火訓練もおこなわれました。こうしたライフラフトの訓練は、各県で年に数回おこなわれているようです。最近は、ヨットオーナーを対象にした訓練があるという話を聞いたことがないので、実際にラフトを見てみたいという人は、こうした訓練を見学させてもらったらどうでしょうか。日程や場所は先に書いた船員災害防災協会でわかると思います。見学の趣旨を話せば、断られることはないと思います。荒天の中、ヨットが沈む時になって初めてコンテナに入ったラフトを見るというのでは、これから始まるサバイバルの闘いに向けて持つべき自信や確信が得られないのではないでしょうか。

2010年02月13日:ヨットの安全・無線Salaku

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