信号紅炎、火せんの免除について
遭難を知らせる方法には、信号紅炎や火せんなど火薬を使うものに点火する方法があります。手に持って使うため、持っている本人にとってはとても光が強く、他の船にすぐ見つけてもらえそうな気がします。ところが、広い海でのことですから、実際にはなかなか他船には気がついてもらえないのが実情のようです。
友達のヨットが外洋で転覆してマストを失い、エンジンも動かなくなった時、数マイル離れたところを本船が通りかかったので、パラシュートフレアを打ち上げました。一本、二本、三本、まだ気がついてくれません。結局、手持ちの七本全部を打ち上げたところで、ようやく気がついてくれたそうです。パシュートフレアは100mくらい上空までパラシュートを飛ばし炎をあげながらゆっくり落ちてくるもので、遠いところからでも容易に見えそうなものですが、それでもこんな状態でした。昼間だったせいもあるのかもしれませんが、思っているほど効果が高いものではなさそうです。
これは小型船舶用信号紅炎です。これなら持っている、という人も多いのではないでしょうか。パラシュートフレアに比べれば、オモチャのような感じがします。JCIの小型帆船法定備品一覧表によると、平水区域と限定沿海及び沿岸を航行区域とするヨットには、この信号紅炎を1セット(2本入り)積んでおきなさいということになっています。
しかし免除規定があって、マリンVHF,国際VHF,イリジウムなど衛星電話、さらに「携帯・自動車電話」を搭載していれば、平水と限定沿海については信号紅炎を持っていなくてもよろしい、となっています。航行区域を限定沿海にしているヨットの人は多いですから、あなたも関係ありませんか。
去年ようやく少し緩和されたVHF制度で、5wハンディ機が使いやすくなりました。さっそく、それを購入した人がJCIの定期検査で言ったそうです、「VHFハンディ機があるから信号紅炎は免除されますね」と。JCIの人は答えました、「そんなことは聞いていませんから免除にはなりません。」
せっかくVHFハンディ機を買って信号紅炎を買う費用が節約できると思ったのになんてこった!と怒ったその人は、きらきら丸の掲示板に投稿しました。確かにおかしな話です。総務省総合通信基盤局(昔のデンカン)の肝いりで作られたにもかかわらず、中途半端な性能と高額なため普及しないマリンVHFでも免除されるというのに、それより数段性能がいい上、格段に安いVHFハンディ機が認められないとは。これは間違いなく異常な話しです。早急に是正すべきです。
それはそれとして、今回ぼくが言いたいことは、信号紅炎など安全備品は規則どおりの数をそろえていても、安全ではなさそうだということです。最初に書いたパラシュートフレアのことが一例ですし、他にも操船不能になって信号紅炎に点火して振り回したのに本船に無視されたという例もあります。
本船で一等航海士をしていたことのある人に言わせると、そんな遠くで小さな火がチロチロしたって気がつくもんか、しつこく何本も燃やしてようやくアレは何だということになって注目される、とのことでした。そんなもんなんですね。
信号紅炎は点火してから1分くらいしか燃えません。2本続けても2分ちょっとだけです。貨物船のブリッジにいるのは、たいてい一人だけですから、しょっちゅう周りを見ているとは考えられません。
JCIの規則には火せん(打ち上げ花火のようなもの)についての免除規定もあり、沿岸と限定沿海を航行するヨットは国際VHFなどを搭載していれば、本来火せん2個のところを1個でよろしい、と言うのです。重箱のスミをつつくというか、おかしなところで「サービス精神」を発揮している感じがします。ただでさえ(注)が多くて読みづらく理解しにくい法定備品一覧表を、ますますわかりにくくしています。それとも、そうした方が偉そうにみえていいと思っているのか。そもそも、これだけ航行区域を細かく分ける必要があるのかも疑問です。
安全のためには規則に頼らず、自分の判断で納得できる数の安全備品を持つ。規則が言う数は最低数と心得るべし。
とは言っても、安くはないですからね。期限の切れたものを棄てずに取って置くとかも、ぼくはしています。8年前に買ったパラシュートフレア7本は、まだ持っています。これは、外洋レースの規則でブツブツ言いながら仕方なく買ったものです。海保の人に、古いものは点火すると爆発することがあると言われたことがあります。新しいものにせよ、期限切れのものにせよ、火薬を使う遭難信号は、風下へ向けて点火し、点火したら持っている腕をすぐに伸ばして体から遠ざける、顔は反対側へ向けることが肝要です。きれいだな、と見つめていてはダメです。期限内のものでも、異常燃焼や爆発する危険性がないとは言えないからです。

Comments
CPさん:2010年02月25日
この火せんにしても役に立ちそうには思えません。子どもの花火のほうが目立つかも。役に立つより、腹が立ちます!
Salakuさん:2010年02月26日
アイコム株式会社入山政夫さん:2010年06月30日
無線機のアイコムです。
弊社製品をお使いくださった方からクレームがあり、弊社で関係部署に質問させて頂いたところ、SALAKU様のようなご意見があり、検討するとのお答えを得ておりました(JCI)。
先日JCIから信号紅炎は免除するとの連絡がありました。全面的ではないようですが、少し前進です。今後もみなさんのご意見を尊重して国際VHFの普及に尽くしたいと思います。
とりあえずご報告まで
http://www.jci.go.jp/topics...
Salakuさん:2010年07月01日
わたしの考え方としては、VHFがあれば信号紅煙を免除するというJCIの規則はおかしいと思います。緊急事態を他の船などに知ってもらうためには複数の方法と手段を持っていたほうがいいからです。
ただ今回は、世界では誰もが使えるVHFがようやく日本でも理不尽な規則が変更されて使いやすくなり、遅ればせながらJCIもその有用性を認めざるを得なくなったということだと考えています。
貴社は世界の市場で成功をおさめられ、総務省がつくったマリンVHFなどという阿呆な無線機の製造にも関わらず、ますます求めやすく高性能な機器の製造を続けられていることに感謝しています。今後もプレジャーボート関係者が貴社の無線機を使う機会がさらに増えていくと思っています。
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