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■ 山と水の島、屋久島(1)

'01年11月26日〜12月3日

屋久島航海記

オーバーナイトセーリング
長崎から南へ約300キロ、黒潮の中に屋久島はある。さらくの平均速度は10キロ弱、まっすぐに行けば30数時間で着ける距離だ。今回もシングルハンドの航海になったので途中の甑島で1泊する計画を立てた。18時に長崎を出航、泊地から出ると北西の風が引き起こすチョッピーな波に揺さぶられ始めた。風向きはいいが、ずっとこの波が斜め後ろから来るとなると、つらいものがありそうだと悪い予感。満月とあって漁船の姿はない。野母崎から5マイルも南下すれば、航路からはずれて出会う船はほとんどない。雲が近づけば風が強まり、星空が見えれば弱まる。そのくり返しの中を針路180度で走る。風力3、ばたつくジブをファーリングして1ポンリーフのメインセールだけで走る。オートパイロットはよく働いてくれるが、斜め後ろからの波にあて舵ができないので船は蛇行を繰り返す。1時間おきに起き出しては位置と針路を確認。2時ごろから甑島の灯台の光が見え始める。3時すぎ、チョコレートを食べようとしていたら、突然の吐き気。急いで風下側へ行った。そのあとはスッキリして、かえってやる気が出てきた。甑島北端の射手崎の灯台を右に見ながら幅約500mほどの水道を通過。暗闇の中を暗礁がある水道を通るせいですごく狭い感じがする。そのすぐ南にある里港に入る予定にしていたが、体調も良くなったし風もいいので枕崎まで行くことにした。島陰に入ったせいで、しばらくは海面もフラットだったがすぐにまた揺れ始めた。南に緑と白の光が点滅している。黒島の灯台だ。単調なモノクロの世界にいると、こんな明かりも可愛らしく見える。明け方、野間岬の北に到達し、さらに南下を続けて正午に坊ノ岬を回る。13時、枕崎港のポンツーンに着いた。21時間で104マイルを走った。
枕崎 以前入った銭湯は廃業していた。お客さんだった漁船乗組員が減ったせいだろう。10分くらい歩いて枕崎温泉という銭湯に入った。買い物はできるし食堂はあるし、いい港だ。
翌日4時出航。前日からの波がまだ残る中、針路175度で硫黄島と竹島の間をめざす。

風力1〜3と風にムラがあった。
名前のとおり硫黄島は火山島で山頂からは噴煙をあげていた。
あと30マイルで屋久島、標高2000メートル近い山があるから見えても良さそうなものだが、まったく見えない。島が見え始めたのは10マイルくらいに近づいてからだった。
島全体を覆っていた霧のような雲が消えていくと、屋久島はその姿をようやく現してきた。世界測地系の海図とWGS84にあわせたGPSのおかげで、さらくは一路、一湊港をめざす。
ラクダのこぶのような形をした岬の右側の入江にあるのが一湊港だ。
13時45分到着、枕崎から約50マイル。
一湊港
とりあえず空いている岸壁に泊めていたら、地元の人が来てもっと奥にいい場所があると教えてくれた。定置網が積み上げてある岸壁で、いつも空いているらしい。その人には近くの大浦温泉まで車で送ってもらったりしてお世話になった。この温泉は人里離れた海岸にあり、とてもリラックスできた。
翌朝、漁協に行ってみるとけっこう活気があった。この日水揚げが多かったのはサバフグ。鍋に入れると美味いそうだ。レンタカーを借りに行くためバスを待つが、時間になっても来ない。よくよく時刻表を見ると逆の方向へ行くバスの時間を見ていたらしい。要するにバス停が道路の片側にしかなくて時刻表には双方へ向かうバスの時刻が表と裏に書いてある。こちらは地名をろくに知らないので逆方向へ行くバスの時刻を見ていたのだった。ヒッチハイクを
試みるが、なかなか止まってくれない。「密航者に注意」の看板があちこちに立てられているせいだろうか。近くのガソリンスタンドの店員さんに事情を話し、ようやく乗せてくれる車が見つかった。乗せてくれたおじいさんは入歯のせいか、それとも方言のせいなのか言っていることがほとんどわからなかったが、こちらの言っていることは通じていたらしくレンタカー会社の前まで到着できたのであった。

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