どの草葉ともなき春のひかりかな／綾部仁喜

　桜の花はすっかり散ってしまい陽が透けるような若葉か繁っている。それは桜ばかりではなく他の落葉樹もどんどん若葉が出ていて山肌がもこもこ膨らんでいるいるように見える。色も様々で幾種類もの樹木が生えていることに気付かされる。これがだんだんと季節進み夏も盛りとなれば似たような色合いになって判らなくなる。若い頃は、血気盛んに自分は他人とは違うんだと思っていたのに齢を重ねると埋もれてしまうそんな感じ。それが厭なら飛び抜けて伸びてしまえばいいのである。

クロバナロウバイ／ロウバイ科